BLOG

アカハライモリ
紙本彩色 F8 2019


家にはイモリが2匹います。アカハライモリのアカとシリケンイモリのロクです。赤いお腹のアカと薄っすら緑青がかった背中のロク。安易な名前です。しかもロクもお腹は赤い。

大学在学中からほぼ魚しか描いてきませんでしたが、両生類や爬虫類も段々と描くようになり、このイモリは結構定番の画題になりつつあります。イモリは漢字で「井守」と書き、井戸を守る、転じて川や池、つまり水を守るということで縁起もよいのです。

自分の好きな生物が、後々調べたら縁起がいいっていうのは嬉しいですね。ナマズとかフグとか海老とか鯉とか。ん?縁起の良くない生き物いない説?

  

イモリは飼育しているとやはりその動きが面白いですね。上の絵も、よくこんなポーズを取るので描きましたが、一度脱走もしてますし、一般的にも「イモリは脱走の名人」なんて言われます。

ただ感覚として、その環境に満足していると逃げませんね。脱走したときも、ちょっとレイアウト変更してなんとなく居心地が悪くなった時にやられました。家の居心地がよければかなりリラックスして過ごしてます。そんな絵も、新作で描きました。

  

2匹のためにゆったりしたアクアテラリウムを作ってあげたいですね。でもイモリってほんとよく餌を食べるので水を汚して苔が・・・すごいんですよね。

  

ちなみに、両生類や爬虫類を描くときは必ず魚入りの水槽落款を押しています。いや、正しくは「画面に魚がいない時」ですね。これはかなり最初の頃、それこそ落款を作り始めた頃に定めたルールで、今も守っていますが、一度だけ魚がいる画面で押したこともあります。それはまぁ100年後に阿部観水研究の第一人者の方に仮説を立ててもらえればと思います。

最初に作ったのは朱地に白字の白文印でしたが、比較的最近になって白地に朱字の朱文印を作りました。朱文印の方が彫るとこ多くて大変なんですよね。そしてやっぱり、新しくできたやつの方をついつい多用してしまうんですよね。

それに、画面における朱の面積のバランスも重要ですからね。


ニムファにトーマシー図
紙本彩色 M6 2018


2018年の頭の方に制作したこの作品。「ニムファ」と「トーマシー」が描かれてますが、さてどっちがどっちだか。画廊の方がお客様にこの絵の説明をする時に「え~っと、こちらは・・・すみません先生どっちがニムファでしたっけ?」となってしまうややこしさ。

本人的には、いや、アクアリスト的には「サンチュにカルビ」くらい常識的な範囲なのでこんなタイトルをつけてしまったけれど、これが良いのか悪いのかは展示してみないとわからなかった。

基本的に作品タイトルは描いた魚や水草の名前をそのまま使うというのが主で、それはそう言い切ってしまった方が僕の作品的に見えてくるものがあるだろうという澤井先生の助言もあってのことだけど、実は過去何度か変えてみたこともあった。

それは例えばこの絵でもできるけど、ニムファを藻、トーマシーを魚と言ってしまい、魚藻図(ぎょそうず)というタイトルにしてしまうというもの。

古来より中国では「魚藻」というのは「花鳥」と並ぶ自然観照の画題であったという知識を得てから、これだ!ということで使うようになったのですが・・・

それはそれでカッコイイとも思うのですが、ちょっと「魚藻図」というタイトルの作品が増えすぎまして(笑) 最近は専ら名前の方にしています。

そして時々お客様が「おっ、トーマシーだねぇ」と反応してくださることがあり、そうなるともうお互いに魚トークが数十分~1時間ほど続いて周りが驚くという現象もあったり。

なもんで、前に「魚藻図」と付けた絵を別のタイトルに変更したものもあります。

あるいはまた逆に変えることもあったり・・・


少し前にサイトをリニューアルいたしました。

確か、以前のサイトを作った当初から、スマホでプロフを見ると段落がめちゃくちゃになるのが気になっていましたが見て見ぬふりをしていて、不意に思い立ったので頑張りました。

 

上の絵は現在、東銀座のギャラリー無門さんにて展示中の「鯉鯰図」です。リネンズと読みます。

余白を多めにとった鯉と鯰のシンプルな絵ですが、組み合わせとしては初めてです。大きな鯉はとても小さな鯰をもしかしたら食べることがあるかもしれませんし、鯰は小さい鯉は確実に食べます。

ですが、この絵のようなサイズではお互いに無関心ですね。時々寄り添って泳ぐこともあるかもしれません。

 

落款は2つで、上のが鯉の絵専用の落款「萬国泳」です。 

河鍋暁斎のカラスの絵専用の落款「萬国飛」のパクリなのですが、僕も何かの本で偶然見つけたので、まず気づく人はいないでしょう。もし、知っている人がいたらこのブログを見た人ですね。

カラスが世界中に飛んでいくように、鯉が世界中を泳いでいくように願いを込めた、縁起のいい落款です。世界中に自分の鯉の絵が飾られるようになってほしいですね。

 

下の落款は瓢箪に観水と入れたものです。瓢箪型の落款自体はよくありますね。子孫繁栄・無病息災の縁起のいいモチーフらしいです。

僕も形がカッコイイなと思って作ってみたのですが、ひとつ思い出した絵がありまして、自分の中で「瓢箪の落款は鯰の絵の時にだけ使う」というルールを作りました。

その思い出した絵は、南北朝~室町時代の画僧:如拙筆の「瓢鮎図」です。

「瓢箪で鯰を押さえつけることはできるか」という禅問答を表した絵ですね。国宝です。

それができる or できないとかそういう問題ではなく、それについて考えることが重要だみたいな感じだと思うのですが、実際絵をかいていて、そういうことってよくあると思うんですよね。

例えるなら…この四角い画面のどこにどんな形の魚を配置したら正解かといつも考えているわけですが、正直正解なんかなく、ただベストだと思う絵をかいていくことが重要なのかなと。抽象的ですみません。

 

展覧会は2月29日まで開催しておりますのでお時間ありましたら是非実物をご覧いただければと思います。詳しくはNEWSInstagramをご覧ください。